安永健太さん事件について思うこと

昨日(2010・7・29)、特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われて裁判が開始されたが、なんか論点がズレテいるような気がしてならない。



特別公務員暴行陵虐傷害罪とは、検察官や警察官などの公務員が職務上、容疑者や〓〓被告人、服役囚らに暴行や虐待を加える犯罪で、職権乱用罪の一種。服役囚を看守、護送する刑務官も、この罪の適用を受ける。

 食事を与えないといった嫌がらせも、辱めを与える「陵虐」行為として禁じており、わいせつ行為などもこれに含まれる。

 法定刑は七年以下の懲役または禁固と重く、相手にけがをさせると、その上限は傷害罪と同じ懲役十年になる。死亡させた場合は傷害致死罪と同じ二年以上の有期懲役(最長十五年)。

 目撃者のいない密室で起きることが多く、身内同士のかばい合いで事件化されない可能性もあるため、被害者が裁判所に直接、審理を求める「付審判請求」が認められている。



少なくともこの事件は、特別公務員暴行陵虐傷害罪に関しては無罪だと思う。

一見、職権乱用による暴行に該当するように見えるが、取り押さえる際に相手が暴れれば少しは殴ったりするのが一般的なのではないだろうか?


問題なのは、警察官が知的障害者であることを判断できなかったため適正な対応をしなかったことにあると思う。

もし、知的障害者であるかもしれないと判断して適切な対応をしていれば、死亡という悲惨な結果にはならなかったかもしれない。保護の過程で死亡させてしまうなんてありえない話なのだ。


罪を問うとして、もしそういう罪名があるとすれば警察官の認識不足罪にあたると思う。


傷害致死罪として立件したい遺族の気持ちは分かるが、傷害致死罪というのは故意にボッコボコに殴りたおして、それが原因で死亡に至る場合のみだと思う。


実際、健太さんはかなり殴られたような跡があったらしい。
もし、それが本当でそれが原因で亡くなられたのであれば、傷害致死罪は成立するだろう。


私がふと思ったことは、知的障害者のパニック死のことだ。もし、この事件がパニックが原因で死亡に至ったとすれば、警察官の認識不足罪はかなり重くなってしまうのではないだろうか?
もちろん故意ではないにしても死亡させてしまっているのだ。


しかし、20代の若い警察官にそこまで求められるだろうか?相手が知的障害者であり、パニックに陥る可能性があるから適切な対応を取らなければならない場合もあることを常に認識し、100%を求めることができるのだろうか?誰にでもミスはあるのだ。
だからこの事件は、事故であるという解釈もできるのだ。


しかし、認識不足でしたすみません、で済む問題でもない。


警察という組織に潜む不信感は誰しも少なからず持っていると思う。その視点でみれば、とことん警察を追及してやりたい気持ちは海よりも深いと思う。まして遺族ならば当然の話だ。


この事件は難解な司法手続きを経てやっと法廷に持ち込まれたが、司法的な意味でも検察的な意味でも警察的な意味でも知的障害者団体的にも興味深いものだ。


はたして、真実は解明できるのか。

公平公正な司法の判断を待とう。